ごく普通の日本人が出逢った外資系企業の世界 2.0

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ビジネスモデルと組織文化の関係

世界的に成功している複数の企業に勤めてみて、そのビジネスモデルには組織の文化・背景が深く関係していることを感じました。

 

私が最初に勤めた企業は、アメリカ系の日用品メーカーでした。主に扱っていた商品は、洗剤や紙おむつといったキャピタル・インテンシブ(工場のラインなどの初期投資が大きく、数十〜数百億円かかる)のカテゴリーでした。

したがって、商品を売る前に将来5〜20年にわたるビジネスポテンシャルを事前に綿密に精査する必要があります。また、工場のラインや原料の購買にスケールメリットが効きやすいので、仕様の世界共通化が求められます。そのため、意思決定に至るまでのプロセスの世界標準化が必要があるとともに、組織の人間の考え方・価値観・ビジネスに対するアプローチの仕方などが標準化される必要がありました。

移民国家であるアメリカ発祥の米系企業での仕事は、概して合理的かつ論理的に進められます。また、この企業は基本的に新卒を採用して育てていく(中途採用は基本的に行わない)ことを組織戦略としていました。これらは、キャピタル・インテンシブなカテゴリーにおいて、非常に大きな強みとなっていました。

 

私が次に努めたのはフランス系の化粧品メーカーでした。化粧品業界というのは、基礎技術に関しては世界標準及びスケールが重要となります。一方で、製造に関わる初期投資が比較的少ないため参入障壁も低く、市場のプレイヤーの数も大きいので5%のシェアを超えるとトップブランドになることができます。これは、3〜4のプレイヤーで市場を独占している紙おむつなどのカテゴリーに比べて、化粧品はより限定的な消費者に熱狂的・圧倒的に好まれるエッジの効いた商品である必要があるということです。

そのため企業としては、日々移り変わるトレンドや各地域・国の特異性により深く迅速に対応することが求められます。したがって、その戦略・プランを生み出す組織には、感度の高い多様性に富んだ人材が必要となります。また、「美」という数値化しにくいものを、迅速な意思決定を持って進めていくビジネスプロセスが必要となります。

フランス企業の強みは、その「美」に対する感性とともに、トップダウンの意思決定にあります。これは、ともすれば末端で働く人間にとっての分かりにくさ・不透明さと感じられることもあるのですが、化粧品業界で成功するための大きな成功要因となっていました。

また、経験者を多く中途採用することで、組織の多様性を促進し、また業界最先端のトレンドを組織に取り込むことに勤めていました。

 

この2つの企業の組織文化は、真反対と言っていいほど異なっていました。しかし、それぞれの業界において成功するための要素を見事に備えていたわけです。他の業界であれば、おそらく今ほどの成功は収められなかったと思います。

組織の文化や背景というものは、一朝一夕で簡単に変えられるものではありません。だからこそ、自社の文化・背景を深く理解し、それに根ざした戦略を根幹とするビジネスモデルを構築していくことが大切なのだと感じました。

 

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